小学生とblog(2)

もうひとつ別の日記サイトを持っているのだけど、そこは「はてな」日記とは層も雰囲気もちがって、中学生から社会人までのふつう(何?)の人たちが、日常の出来事や悲喜交々を書いてるのが多い。なかにはディープな日記もあるけど、概ねたわいがないといえばたわいがなく、まったりとしてる。
そこの日記サイトの特徴として、他の日記にブックマークをつけ、もし相互ブックマークになったら秘密日記に書き込み・表示できるという機能がある。コメント欄はないので、コミュニケーションは相互ブックマーク同士だけが、秘密日記をとおして行なえるという仕組みだ。
それで中学生や高校生が友だちをさそって秘密日記交換を始め、そのうち日記を読んで気に入った他の――学校や地域や性別や年令の異なる――人がブックマークを貼り、貼られたほうも気に入ればブックマークを返して、相互関係になったりしている。というか、実際にその一端に入ったりしてる。v そして相互ブックマークになると、別に秘密日記に書かなくても、相手がどんなことを書いてるのか注目するようになるし、また相手が読んでることを意識して書くようになる。そうすると、それまで仲間内だけだった視野が、ずっと広がることになる。また、表や秘密の日記に悩み事などを書くと、心配してアドバイスなどを書き込んでくれる人もでてくる。そこの日記サイトの機能はなかなかによいです。
 
一般に小学高学年から中学の女子は、友だちとの同調的行動、要するにクローズドなグループで行動する。それでグループに入れなかったり、グループからはじき出されたりすることが、いじめや精神的苦痛の原因にもなってしまうことがあったりする。自我がまだ発達途中なので、ある程度は仕方ないのだろうけど、やはり境界をリジッドにつくってしまうのはまずい。かといって簡単に開放系にしろというわけにもゆかない。何らかの心理的支援が必要なのだ。ライフセーバーとまではゆかなくとも、ふだんウォッチしてくれていて、何か困ったときには乗りだしてくれるようなサポーター的存在だ。
先ほどの日記サイトの相互ブックマーク者などが、それに当たると思ってる。オリジナルメンバーではない相互ブックマーク者は、外の境界周辺にいて、明瞭ではないけれど外側にもうひとつの境界をかたちづくってくれる。それはガードにもなり、またその外の境界も世界との出入り口に利用することができるようになる。もし内側のグループからはじき出されたとしても、外側を仮の住まいにすることもできるし、またグループではなくひとりで始めて、相互ブックマークのサポーターを得ることもできる。
今現在そこのサイトで日記を持てるのは、中学生以上に限られてるみたいだけど、そのシステムなら小学生でも利用価値は大きいように思う。
チャットや掲示板という相手を志向したお喋りもいいけど、やはり気持ちをエクリチュールとして表出する日記の価値が大きいのではないかと思う。それがサポート感の得られるあらたな人間関係につながるならなおさら。

 

参考:大渕憲一『満たされない自己愛』(ちくま新書
http://www.worldtimes.co.jp/syohyou/bk030518-1.html
参考:「小学生日記」のhanae*ちゃん(「中学生日記」になった)
http://www.spoon01.com/column/index.html