妄想も「正論」になる時代

「思考錯誤」 ―『正論』8月号
AERAが「さらば、2ちゃんねる」と嬉しそうに書いているのとは対照的に、2chを自分たちのメディアだと錯覚してる人が、『正論』でトンデモな北田氏批判をやっているようだ。題して「「2ちゃんねる」を目の敵にする朝日、岩波の焦燥」。
(楽をして「思考錯誤」サイトさんからその内容を勝手にコピーしてみる。)

「嗤う日本のナショナリズム…『2ちゃんねる』にみるアイロニズムロマン主義」で北田暁大氏は一九八〇年代から始まった、大衆のメディアに対するシニシズムはメディアの実体と建前の際を察知したからだと言う。その分析は誤りではないし、「2ちゃんねる」内で「マスメディアは共同性を担保する第三項の位置からコミュニケーションの素材へと相対化されている」という認識も正しい。

ただ、北田氏が朝日新聞の無謬性を前提としているので、必然的に「ほとんど言いがかりに近い『反朝日』の風潮や、W杯時のフジテレビ『偏向』報道への抗議活動を見ても分かるように、2chにおける反マスコミ主義は、マスコミへのシニシズムという言葉で括るにはいささか過剰なものとなっている」という逃げの論理回路に入って行く。

批評に重要なのは言葉を弄ぶことでなく、事実をどう認識するかということだ。「ほとんど言いがかりに近い『反朝日』の風潮」と北田氏が書く瞬間に、彼は「2ちゃんねる」の朝日新聞を扱うスレッドで「荒らし」と呼ばれるネットストーカーや〈ネット工作員〉と同位相に堕してしまう。なぜなら、批評の根拠となる一次情報の検証を完全に放擲しているからだ。

こんなしょーもない妄想全開な文章を載せるなんて、『正論』って保守系雑誌じゃなくウヨ系雑誌だったのか。まんま2chウヨのカキコでしょう。論理を読む以前のシロモノで、「敵」(サヨ・反日分子)の脅威と闘っている、妄想性人格障害やパラノイドな人の症例としか思えない。読みとれるのは、スプリティングした価値観に、被害妄想や投影などの心理的防衛反応だ。
でも書いた本人としては、「敵」(朝日・岩波)が「2ちゃんねる」を目の敵にしてるとか、北田氏が「朝日新聞の無謬性」を信じているとか、論文が「朝日新聞を扱うスレ」つまり自分たちにたいするネットストーカーやネット工作員と同じだといったアホ臭いことを、きっと本気で信じてるのでしょう。というのも、2ちゃんねるはそういう人たちにとっては、敵と争奪戦を行なっている城や高地みたいなものだから。(もしかしてもう占領したとでも思い込んでいるのかも。) その戦争での鉄砲の玉数は発言の数、というわけで、一日中書き込みをやってるパラノさん(*)もいます。勝手に「自分たちのテリトリー」にしてしまい、そこを確保し保守しようという意識も強いので、よくマーキングをやります。テリトリーを持つ動物が糞尿などで臭いをつけて回るように。だからキモいのだ。

    * パラノさんは、世界や人との取っ掛かりをつかむためにも書き込んでいる。彼らはなにより、人から見捨てられるのがこわいのだから。またそれゆえ、決して飽きることなく書き込みを続ける。哀れといえば哀れ。
    なので、もし可哀想と思う人で自分の人生の貴重な時間を無駄にしてもいいという人は、ボランティアとして話し相手をしてあげるのもいいかもしれません。べつに「味方」でなく「敵」だとしても、相手をしてくれれば喜ぶ(発奮する)と思います。

そんな感じの人でもいちおう理屈は言うのだけど、いくらなんでも北田氏とは能力の偏差値に開きがありすぎる。で、その差をなんとか埋めようとする方策が、妄想と誤読というわけだ。それによって、相手を自分の理解可能な偏差値範囲まで引きずり降ろすことができる。でもそうやってでき上がった文章は、やっぱり論理レベルでもおかしいし、もっと別のメタ&メンタルレベルでもおかしい(狂ってる)ことになってしまう。

上の『正論』掲載文のような、頭が良くないのを誤魔化そうとして必死に背伸びしてる、エラそうでハッタリかました文章は、ときどき見かけることがある。そしていつも、ジジイ臭くて鬱陶しい独特の文体パターンになっている。(「産経抄」の爺さんでも目指してるのか。)

    ○○氏は……だと言う。その分析は誤りではないし、……という認識も正しい。ただ○○氏は……を前提としているので、……という逃げの論理回路に入って行く。
    ……と○○氏が書く瞬間に、……と同位相に堕してしまう。なぜなら、……を完全に放擲しているからだ。
○○や……のところにテキトーに言葉を入れれば、いくらでも応用がききそうだ。(それにしても「同位相に堕する」って……。苦笑)
そして途中に、
    「批評に重要なのは言葉を弄ぶことでなく、事実をどう認識するかということだ。」
といったお説教文句をエラそうに挿入すると、「立派な文章」が一丁でき上がり。もちろん、その説教文句がそっくり自分にはね返ってくるなどということは、微塵も考えてはいけない。
そういや、これと同じような文体の人が、どこか極東のほうにいたっけ。
 
まあ、2chはもうどうでもいい。
それより、余計なお世話だけど、北田先生は大丈夫かな。まず、相手を見切ってほしいです。それと、酒と仕事と不規則睡眠の三点組み合わせって、ちょっとマズいと思う。